・前に立って話していると気づくとざわざわしてしまう
・いろいろ言い方を工夫しているのに、子どもがふざけてばかりで結局怒って雰囲気が悪くなってしまう。
・子どもが聞きたくなるような話をすることは分かっているが、具体的にどうしていいかわからない。
どれも私が実際に経験した悩みですし、同じように悩んでいる保育士さんも多いのではないでしょうか。
前に立って子どもに話をすることは想像以上に大変です。
私も保育士になって11年経ちますが、もともと話すのが得意ではないのでとても苦労しましたし、今でも失敗すると全然話を聞いてもらえません。
それくらい子どもの前で話すことの大変さは重々承知していますし、先生たちも様々な工夫をしながら毎日の保育に取り組んでいることと思います。
まずは本当にお疲れ様ですと伝えたいです。
そんな先生たちのヒントに少しでもなればと思い、ここでは私が実際に子どもの前に立って話すポイントを5つに絞って解説しました。
先生は本当に様々なことを意識しながら話さないといけません。
まずは大前提として子どもの前で話す準備をしっかりすることから始まります。
こちらの記事で解説していますので良かったら読んでみてくださいね。
いよいよ実際に子どもの前で話すポイントを解説。
基本的なことばかりなのですでにできている、知ってるよということはOK!
何か一つでもあなたの保育の参考になれれば幸いです。
子どもが話を聞くようになるポイント5選
1,全体に話すときは必ず最初に合言葉で話し出す。
〇〇ぐみさん
はーい
このようなやり取りをしてから話し出す…子どもに「今から話をするよ」というのが伝わり、自然と注目させることができます。
普段から何気なくやっている先生も多いのではないでしょうか。
しかしこれ、思ったよりとても重要な技なんです。
話し出しは一番大事。
ここできちんと子ども達の集中を掴めるかによって、その後の話しやすさがかなり変わってきます。
ですが段々慣れてくると、面倒くさがって
は~い、もう片付けだよ~
なんて突然大きな声で言ってしまっていませんか?
そして反応してくれるのは周りの数人だけ。
もー!!片付けって言ってるでしょー!!
と、怒る前に…。
全体への声掛けは必ずこの合言葉で、子ども達がきちんと注目したのを確かめてから話し出してくださいね。
そして、学年に合わせてこの合言葉のパターンがいくつかあると、子どもも飽きずに続けられます。
いくつかパターンを紹介しておくので自分が使いやすいもので使ってみてくださいね。
また、特に決まりがあるわけではないので、クラスでオリジナルの合言葉を考えても楽しそうですね。
先生「お口はチャック」
子「手はお膝」
先生「きいてきいて」
子「はいどうぞ」
先生「お話してもいいですか」
子「いいですよ」
先生「静かにしてください」
子「しました」
先生「かっこいいかっこいい〇〇組さん」
子「はーい」
「A」と言ったら「B」と反射ゲームのような感覚で楽しめると子ども達も、先生の声かけを聞こうと集中します。
話の途中でざわついてしまった時にも話の仕切り直しに使うこともできます。
非常に便利なのですが、多用は禁物。
ざわつくからと言って何度も言わせると強制されているように感じ、だんだん反応しなくなります。
このことに気を付けて、初めに子どもにしっかりと注目させてから話し出してくださいね。
合言葉だけでなく、初めに手遊びをしたり、子どもの注目を集めるのに様々なパターンがあります。
今回は一番簡単な方法を紹介しましたが、子ども達がどうしたら興味を持ってくれるだろうと自分なりに考え工夫した方法で構いません。
その場にあった方法を選んでいきましょう。
2,ちゃんとみんなが注目しているか確認する
最初で注目させても全員が一回で注目することは難しいです。
必ず一人か二人は話を聞いていない子がいます。
この場合、2つのパターンに分かれます。
①先生がさらに子どもが興味を持ってくれるよう話を上手に盛り上げ、自然と取りこぼした子も集中することができる。
②そのまま周りにちょっかいをかけて、話を聞く雰囲気が壊れ、後からその子を注意することによって話が中断してしまう。
もちろん理想は①ですよね。
ですが、①のパターンにするためには先生の技術がそれなりに必要ですし、いつも楽しい興味のある話ばかりしていられませんよね。
なので、このまま話していても取りこぼした子を注目させられないだろうなと思ったら、大事な話が始まる前にその子の名前を呼んできちんと注目させることが大切です。
ですが、だいたい話を聞かない子は決まっていませんか?
そしていつも同じ子ばかり注意することになっていませんか。
あまりみんなの前で注意ばかりしていてはその子の自尊心も傷つき、ますます関係が悪くなってしまいます。
集まりの前に一緒に遊んだり、信頼関係を築いたうえで、
先生〇〇くんがお話を聞いてくれるととっても嬉しいんだ。
先生ちゃんと見てるね。
など、事前にこっそり話をしたり、約束をすることも大切です。
そして一番重要なことは「ちゃんとできた時に褒めてあげる」ことです。
注意が多い子は傷つきやすいです。
さらに別に問題行動を起こす原因がある場合が多いので、その原因をさぐりつつ、とにかく褒めるチャンスは逃さない様にしましょう。
とはいえ先生も人なのでその子に対して
もう付き合ってられない!!
と、怒れてしまうこともありますよね。
気持ち的にいっぱいになってしまったら一人で抱え込まずに、周りの先生に話を聞いてもらったり、相談に乗ってもらいましょう。人に話すことで気持ちの整理が出来たり、気づきがあると思います。
無理をせず周りに頼ってくださいね。
3とにかく視覚に訴えて話すことを意識する
今回のメインとも言えるとても大切な項目です。
先ほど挙げた、子どもが自然と話しに興味を持ってくれるための技術でもあります。
前に立って何もない状態で話を聞くのは正直大人でも難しいです。
それを子どもに強要させるのが無理な話です。
ここで紹介する方法はほんの一例ですが、子ども達を惹きつける話をするには、道具や物の力を借りることが必要不可欠です。
そのために準備や練習が必要なものもありますが、そこを面倒くさがっているとあなたの保育士レベルは変わりません。
逆にいろいろな物を試したらその分だけあなたの財産になります。
時には失敗しても大丈夫です。
子どもの反応、自分に合った方法を探りながら積極的に様々な道具を使い、保育の技量を上げていきましょう。
とはいえ、先生たちも日々の保育でお忙しいですよね…。
なるべく、準備の少ない方法も紹介しているので自分が出来そうなところからチャレンジしてみてくださいね。
①黒板を使う
あらかじめ準備のいらない、もっとも簡単な方法です。
学校の先生の授業を思い出してくれるといいのですが、この黒板の使い方が上手な先生と下手な先生では授業の理解度が違いませんでしたが?
何かを書くと子どもも一気に注目してくれます。
ですが、幼児の場合は字が読めない子も多いので、絵を描きながら話をするのがメインの使い方になります。
何も手元にない場合はこの黒板を上手に使って話をしていくようにしましょう。
②絵カードを使う
先ほどの黒板の活用は絵が上手な先生はいいのですが、絵を描くのが苦手だなぁという先生もいるでしょう。
(あまり上手下手気にせず子どもに伝わるなら描いてもいいと思いますが、それでも絵なんてどこから描いていいかわからない先生もいると思うので)
そんな先生はあらかじめ絵カードを準備しておきましょう。
今はネットに様々なフリー素材のイラストが存在します。
それらをダウンロードして使いましょう。
絵がうまい先生も、なるべくなら絵カードを用意してから話す方がいいでしょう。
保育士もあらかじめ話すことを考えながら絵カードを準備するので、何を話すのか整理されやすく子どもたちの前でもスムーズに話すことができます。
大変だとは思いますが、一度準備すればその後も使えますし、ここまで準備しておけば必ず子どもたちも話を聞いてくれるでしょう。
③人形、ペープサートを使う
先生の代わりに腹話術のように人形に話させるのも簡単に出来て効果的です。
子どもはふわふわとした丸みを帯びたものが大好きです。
人形の方がアニメのキャラクターのように親しみやすかったり、クラスの一員と紹介しておくと愛着が湧きます。
テレビを見ていても、歌のお姉さんが話すよりキャラクターが話した言葉の方が印象に残りませんか?
さらに、お勧めの使い方として、実際にあった子ども同士のトラブルを人形で演じて客観的に見させる方法があります。
「みんなはこんなときどうしたらいいと思う?」と、子ども自身が考えるきっかけになり、話し合ってみてもいいですね。
④何もない時、戸外では、自分の身振り手振りを大きくする。
いつも室内で話をするとは限りませんからね。
ただし、ここでも先生の立ち方ひとつで子どもたちの話を聞く度合いが変わってきます。
背筋を伸ばして、ジェスチャーや表情豊かに話していけるといいですね。
身振り手振りは大きくてもいいのですが、歩き回らないで下さいね。
子どもも視線が動いて落ち着きません。
基本、子どもの前に立つときはテンションを上げて話さないといけないので、ここが苦手な人は苦労しますよね。私もそうなので気持ちはよくわかります。仕事と割り切って全力で頑張りますが、家に帰ってからの疲労感が半端ないですよね。本当にお疲れ様です。
4,最後まで話を聞いてから意見を言う練習をする
先生が話している途中でそれに応えるように反応してしまう子。絵本を読んでいる途中でツッコミを入れてしまう子。よくいますよね。
一言で終わるといいのですが、延々と話が続き、せっかくの聞く雰囲気が壊れてしまいます。
大人でも相手の話を最後まで聞かずに、自分の話をしだす人はいますよね。
そういう大人はマナー違反ですが…
普段は1対1の会話中心なので仕方ないところもありますが、集団の中では一人一人が静かにしていないと話が進みません。
途中で好き勝手に話し出したらどうなるか、子どもと考えてみるのもいいでしょう。
そしてこれも視覚的に分かりやすくしてあげる方法があります。
表は口、裏は耳の絵が描かれたカードを準備します。
先生が話す時は口の絵カードを、子どもの話を聞くときは耳の絵カードを子供に見せます。
こうすることによって子どもも今は話を聞くときか、話していい時かが分かりやすくなります。
簡単な方法なので一度試してみてくださいね。
5,自分の姿勢、声の出し方を意識する
そんなに声が大きくないのになぜかクラス全体に声が届く先生っていませんか?
逆に一生懸命大きな声を出しているのに全然子どもが反応してくれない先生もいませんか?
喉がかれるくらい声を出しているのに全然振り向いてくれない。
なんでだろうとふと鏡を見てみると、ぎょっとするぐらい背中が丸まっていました。
これは私の実話です。
癖なので意識していないと、いまだにすぐに姿勢が悪くなります。
なるべく良い姿勢でいることを心掛けましょう。
姿勢が伸びているだけでも声が通りやすく、見た目も堂々としているので子ども達も注目してくれます。
当たり前なことを偉そうに言っていますが、私もこのことを意識するようになったのは保育士3年くらいたってから…(気づくの遅い)
それまでは前に立つことに必死で、そこまで気にしていられなかったんですよね。
そのころの私は、なぜか声が遠くまで響かない、その場で落ちてしまうような感覚でした。
その時ふと、音楽の授業やリトミックのときに「おなかから声を出して」と言われていたのを思い出したんです。
そこで、喉ではなくお腹から声を出すイメージで話すと、声が遠くに響いたのでとても驚きました。
なかなか普段からお腹を意識しながら話すことは少ないのでついつい忘れがちになってしまいますが、全体に向かって話すときなどは「大きな声」ではなく「おなかから出す声」を意識するといいですよ。
さらに上級編として、自分が実際に子どもに向かって話しているところを撮影して確認することもおすすめです。
客観的に自分の姿がとらえられることができ、自分の話し方の弱点に気づきやすくなります。
くれぐれも、自分の研究のためだけに使ってくださいね。
子どもたちの様子をSNSなどで不用意に上げないようにして下さい。
実際に私もこっそりと動画を撮ってみたことがあるのですが、1分くらいで「子どもの反応にうまく答えれていない」とか話し方がはっきりしていないとか…こんなひどい話し方をしているのかと反省ばかりでした。
でもそれもこうやって客観的に見ないと気づくこともできませんでした。
そんな状態では自分の保育力など伸びるわけもなく毎日同じことの繰り返しになってしまいます。
なかなか普段の忙しい保育の中でそこまで出来る人も少ないですし、そもそもスマホを保育室に持ち込むことができない園もあると思うので難しいとは思いますが…、確実に自分の保育力は上がるのでスマホOKな園は試してほしいです。
先ほども言いましたが、情報の取り扱いにはくれぐれも気を付けてくださいね。
まとめ
今回は子どもが話を聞くポイント5選について解説しました。
- 全体に話すときは必ず最初に合言葉で話し出す。
- ちゃんとみんなが注目しているか確認する
- とにかく視覚に訴えて話すことを意識する
(黒板、絵カード、人形、身振り手振り) - 最後まで話を聞いてから意見を言う練習をする
- 自分の姿勢、声の出し方を意識する
いかがだったでしょうか。
本当に様々なことを意識しながら保育をしていかなければならないので、先生は大変ですよね。
でも、努力をして自分の話を子どもが一生懸命話を聞いてくれた時の嬉しさもひとしおです。
何か一つでも参考になることがあれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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