年少さんって自由奔放でこんなことが出来ないのも普通なの?
一生懸命関わっているけど毎日泣いてばかりでこの関わり方で合っているのかな
こう不安に思っている先生、特に経験がない先生は悩んでいるのではないでしょうか。
私も年少を多く経験しているので、とてもよくわかります。
年少児って手のかかることが多く大変ですよね。
でも一番愛嬌もあってかわいらしい時期でもあります。
大変だけど、そんな愛らしさに癒されています。
基本年少さんはまだ集団生活に慣れる段階。少しずつ周りに合わせていければいいと思って大丈夫です。
子どもの困った姿も、成長の一過程と捉えられれば心の余裕にもなりますね。
でも現実は、集団としてクラス運営もしていかないといけないので、あまり一人一人に合わせてじっくりと関わることが出来ないことも。
そこが年少さんの悩みの種ですね。
そんなお悩みの保育士さん達に、年少児の特徴と、そのかかわり方のコツについて解説していきたいと思います。
あなたの保育のお役に立てれば幸いです
年少児と関わる時に気を付けたいポイントと、具体的なかかわり方
まずは簡単に年少児の特徴をおさらいしておきましょう。
これは母子手帳に書いてある3歳までにできるようになっていることの目安です。
●手を使わずひとりで階段をのぼれますか。
●クレヨンなどで丸(円)を書きますか。
●衣服の着脱をひとりでしたがりますか。
●自分の名前が言えますか。
~中略~
●ままごと、ヒーローごっこなど、ごっこ遊びができますか。
●遊び友達がいますか。
母子健康手帳
だいたいこのようなことができているのが3歳児です。
一番念頭においてほしい事は月齢。
独身時代も何となく意識していた月齢ですが、子どもを産むとさらにこの月齢のハンデの大きさを痛感します。
4月生まれが生まれてから、寝返りを打ち、ハイハイをし、つかまり立ち、一人立ち、初めての一歩…と1年かけて歩き出している頃に3月生まれはまだ生まれてすらいないのです。まだお母さんのおなかの中にいるのです。これでは周りに比べて幼さを感じて当然ですよね。
幼ければ幼いほどこの月齢の差は大きく、年少児は特に意識してあげたいです。
体の大きさも、精神的にもこのほぼ1年の差はとても大きいです。
早生まれの子ども達はより多めに見てあげるという心持ちが大切でしょう。
一学年下の子どもたちをみていると思った方が先生も心にゆとりが持てます。さらにそう思うと、よく頑張っているとすら思えるでしょう。
一つ下の学年の子ども達はどこまでできるかを目標にして、できていないところをのばしていけるようにしましょう。
すべてが初めてという不安を配慮してあげる
親子教室や、保育園ではすでに園に通っていた子も多いですが、3歳児から急に集団が大きくなり、それまでの乳児の保育しか経験してこなかった子ども達にとって大きく環境が変わります。
なので不安が強い子はいつまでたっても「ママがいい」と泣きます。
自分でも思い返してみてほしいのですが、社会人1年目は「どんな人がいるのだろう…」「うまくやっていけるかな」など、不安になりますよね。
20年以上生きてる大人でもそうなのに、生まれて3年しかたっていない年少さんが不安になって泣くのはむしろ当たり前。新しい行事のたびに大泣きするなど、しばらく続くのは覚悟して臨む必要があります。
こればかりは個人差が大きく、泣き続ける子は3学期に入っても泣くので、年少担任はこの悩みからは逃れられないのが現実です。
こちらがイライラしているのを感じると子どももますます不安になり、余計に悪循環に陥ります。
子どもが泣くのは成長に絶対必要な過程です。
しっかり自己表現ができている証拠として、おおらかに認めてもらいたいです。
とはいえ、仕方がないと思っていても1日泣き声に付き合わされるのは苦痛。
その気持ちもよく分かります…なので、なるべく子どもたちが早く不安を取り除けるような方法を紹介します。
早めに子どもが泣き止む方法
子どもの涙を止める方法は段階があります。この順番でやっていくと比較的早めに気持ちが切りかえれます。
1,まずはとにかく気持ちを受け止める
涙を止める第一段階は
「ママがいいんだよね」
「ママがいいけど頑張ってバイバイしたんだよね」
「さみしかったね」
などその子の気持ちに寄り添った声掛けをしましょう。
気持ちを受け止めてもらえると「分かってもらえた」と安心して泣き止む子もいます。
ただし、落ち着いてきた時にこのような声掛けをすると、気持ちを思い出してまた泣き出してしまうので声掛けのタイミングは注意しましょう。
そして気持ちを受け止めてもらってもまだまだ泣く子がほとんどです。
だって、一番の「ママに会いたい」という欲求は決して満たされないから。
ある程度受け入れても涙が止まらない場合は、気持ちを切り替えられるようにおもちゃなどで気持ちを紛らわせる事が必要です。
その子の好きなもの、興味があるものを保護者から聞いて把握して準備しておくといいでしょう。
その他にもだいたい年少児で涙が止まるのは、ブロック、お絵描き、シール貼り、絵本、粘土、砂場、ぬいぐるみ、園庭で花をみたり、ダンゴムシを探すなどがきっかけになりやすいです。
特に生き物の力は強いです。ウサギなど飼っている園は見に行ったり、得意な先生はクラスに金魚やダンゴムシ、カブトムシなど飼うといいでしょう。
クラスに楽しみができると子どもも自然とクラスへ入れるようになります。
2,話しかけない方がいいパターンもある。
何を言っても大泣きで聞こえない。癇癪が強いタイプの子は逆に声をかけることによって余計パニックになってしまうことがあります。
このタイプは安全なところでそのまま見守る方が落ち着くことが多いです。
下手に声をかけても火に油なので、子どもに気づかれない様に見守るようにしましょう。
さりげなく戻ってきたときに何事もなかったかのように普通に受け入れましょう。
少し子どもの事を掴めてきたところで「おかえり」「先生待ってたよ」など声をかけられるといいですが、敏感なタイプはまた保育室を出て行ってしまうこともあるので、声をかけた方がいいのか、何事もなかったかのように受け入れた方がいいのか子どもの性格を良く把握することが大切です。
3歳児はこちらの言ったことを、実はほとんどわかっていない
言葉が発達し、自分の想いを一通り言葉にできる3歳児。
ですが、まだ自己中心的なので、自分の気持ちは話せますが話を聞く力が育ち切っておらず一方的なことが多いです。
だから長い理屈をコンコンと伝えてもほとんど理解していないです。
もちろん、なんのためにこれをするのか、どうしてやってはいけないのかなど理由を説明することは大切です。それで納得できる子もいます。
ところが、そんな話されても知ったことかというタイプも少なくありません。なぜなら相手に合わせるという力がまだ未熟だからです。
今から朝の会をするからお部屋へ入りま~す!
やだー
みんなぴよ太郎君のこと待ってるんだよ!!
早く戻ってきて!!
やだー
イライライライラ
だから理由を説明しても納得しない子にはそれ以上コンコンと話しても両者疲れるだけ。
それよりも、まったく別の角度からその子がその気になる声掛けを考えましょう。
子どもが心づもりができるように5分前に予定を伝えておく
よく聞く代表的な方法ですね。突然先生の都合で遊びが中断されると気持ちの切り替えができないのも当たり前です。ただし、年少児はあまり早々と予定を伝えても忘れてしまったり、分かっていないことも多いので5分前を目安に伝えるといいでしょう。
(時計の数字を指さしながら)長い針が3に来たら片付けだよ
と、具体的に視覚に訴えながら伝えてあげることも意識できるといいですね。
どちらがいいか選ばせてあげる
同じことをやるにしても自分で選んだほうが納得して取り組みやすいです。
例えば給食を残す子に
全部食べないと大きくなれないよ
というより、
お肉と玉ねぎだったらどっちが食べれる?
と、選ばせてあげます。
同じ給食を食べるでも、「全部食べなさい!」というより、少しハードルを低くして段階的に取り組みやすくなりますし、子どもも「これくらいなら頑張れそう」と、前向きになれます。
一口でも食べられたら「わぁ!!食べられたね!大きくなるなぁ!」と、褒めてあげましょう。
褒めてあげることで子どもも頑張れます。
ゲーム感覚を取り入れる
「何秒でできるかな」
「お部屋まで先生と競争しよう!」
など、ちょっとしたこともゲームにしてあげると、楽しく取り組めます。
あくまで「ゲーム感覚」というところがポイント。
一歩間違えると、
10秒以内にやりなさい!
と強制されてるように感じてしまいます。
そうではなくて、子どもが自分から
「先生、数えて!」
「こないだは20秒でできたから、今度はもっと早くやろう!」
と、子ども自身に目標ができて楽しく取り組むきっかけになるといいですね。
NGワードを使わない声掛け
これはその子にとっての「NGワード」です。
例えば「片付け」「お部屋に入るよ」というキーワードが出ただけで拒否する子もいますよね。
この2つを例に取り上げて考えます。
まずは「片付け」という言葉を使わないで片付ける方法。
「おもちゃが眠いって」
「お家に帰りたいって泣いてる」
など、子どもが想像しやすいように、物に感情を持たせてあげると子どもも
かわいそうだな…
と、取り組んでくれることが多いです。
「また給食が終わったら遊ぼうね」
など、次に使える時を明確にしてあげるとさらに安心します。
「お部屋に入るよ」という言葉を使わないで入る方法
(保育室をさして)なんかあそこにカブトムシが(子どもが興味あるもの)いたの!!ちょっと見に来て!!
などテンション高めに声をかけます。先生の演技力が大切です。
子どもの野次馬精神を利用するのです(笑)
子どもだけでなく、大人でも何か特別なことがあると見に行きたくなりますよね。
部屋に入ってからは
あれ?さっきはいたんだけど・・・どこかにいちゃったかな。
探してみよう!
と、実際にいない時は誤魔化す技術も必要ですが…最初の部屋に入るきっかけに使えます。
毎回誤魔化してばかりでは信頼されなくなるので使いすぎには注意してくださいね。
そしてさらに、部屋に入ってからすぐにまた出て行ってしまわない様に、その子の興味のあるものを用意したり算段を用意しておくのを忘れないようにして下さい。
出来れば本当に興味あるものが部屋にあるといいですね。
実際にカブトムシを飼ってみたり、難しい場合は折り紙で作ったカブトムシを隠しておくと楽しいと思います。
子どもにとって保育室に入るとなにかメリットになることがなければ出て行ってしまうのも当たり前。何か楽しいことがあれば、それをきっかけに保育室に誘いやすくなるので考えてみてくださいね。
魅力的な保育室にするために、おもちゃ、絵本をを入れ替えたり、生き物をを飼ってみたり、常に整理整頓されているなど、保育環境を整える事は保育士として常に意識しておきたいポイントです。
周りのできている子を褒める
子どもの承認欲求を利用する方法。
これは年少児だけでなくどの学年でも使える技です。
つい出来ていない子ばかりに目がいきがちで、注意ばかりになってしまいますよね。
ですが、視点を変えて必ず先に出来ている子をほめるようにして下さい。
誰かをほめることによってその子は見てもらえたという自信になるし、周りも褒めてもらいたいと頑張るきっかけになります。
子どもが自分で気づいて、自分で考え行動する方が先生に言われてやるよりはるかに動けるようになります。
どう声をかけたら子どもの「やる気」に繋がるかを考えながら声かけをするようにしましょう。
まとめ
- 月齢を考慮してあげる
- すべてが初めてという不安を抱えている。泣くのは当たり前と心しておく
- 言葉は話せるが長い話は理解できない。自己中心的な生き物なので子ども自身が気づいたり、その気になるような声掛けをいろんな角度からしてみる
一番手がかかるし、あの手この手を使わないといけない時期ですが、先生が努力した分素直に返ってくる時期です。何より一番かわいいという子どものメリットがあるので、無理せず楽しくやるをモットーに過ごしていきましょう。
あまりにも大変な時は一人で抱え込まずに周りに相談しましょう。
正直、10年保育士をしていても、上手に子どもと関われないことも日常茶飯事です。毎日迷いながらの保育ですし、子育てって本当に奥が深くて難しい。
それぐらい大変なことですし、いま自分の保育がうまくいかならといって追い込まないで下さいね。
一緒に頑張っていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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