・「静かにしなさい」って言ってもその時だけで全然話を聞いてくれない。
・他の先生なら話が聞けるのに、自分の時だけ子ども達がざわついて落ち着かない。
・信頼関係を築けってよく言われるけど具体的に何をしていいかわからない。
このように悩んでいる保育士、特に新任の先生は多いと思います。
ただ言葉だけで「静かにしなさい!」「座りなさい!」と注意してもその場限りで毎日同じことの繰り返し。
最悪子どもたちの不信感が募り、ますます反抗的になります。
クラス運営を円滑にするためには子どもとの信頼関係を最速で築いていくことが重要です。
この記事では保育士歴11年のはるのが、具体的にどんなことをすれば子ども達と信頼関係を築いていくことができるのか、ポイントを5つに絞って解説します。
子ども達との信頼関係を築くのは簡単なことではありませんが、焦らず一つ一つ自分の保育を見直してみましょう
子どもを知ろう
子どもについて本を読んだり、勉強しよう
もう学校で児童心理について勉強してきたし、今更本を読むなんて時間ないよ!!
と、なる気持ち…本当によくわかります。
でも保育士として働いてからもう一度同じ本を見るだけでも、依然と違った気づきがあるはずです。
そもそも幼児期の子どもたちは相手の気持ちを考えたり、人の話を聞く力が完璧には育っていません。
そんな子どもの特性を知っているだけで心に余裕が持てます。
まずは子どもってどういう特性があるのかを知る事で具体的な関わり方や改善策が見えてきます。
でも、難しい本を読むのは苦手…
そんなあなたにぴったりなのが!!
お勧め本1「子育てハッピーアドバイスシリーズ」
子育てハッピーアドバイス [ 明橋大二 ]価格:1,026円 (2021/6/5 19:30時点) 感想(1334件) |
もともとは保護者向けに書かれていますが、児童心理やそのかかわり方等参考になるところが多く保育士も十分参考にできます。
読む前と読んだあとでは子どもに対して気持ちに余裕をもって接することができると思います。
お勧め本2「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」
自閉症スペクトラムやグレーゾーンの子を受け持っている先生は絶対にその特徴について学んでください。
彼らは、私たちと違う感覚を持っているので間違った関わり方をするとその子に一生のトラウマを作ることになります。
自閉症の僕が跳びはねる理由(1) (角川文庫) [ 東田 直樹 ]価格:616円 (2021/6/5 19:37時点) 感想(15件) |
13歳の少年…しかも重度自閉症児とは思えないほど表現力が美しく、そしてわかりやすく自閉症の方の内面を伝えてくれています。こちらも1時間程度で読める本です。
子どものことを知っているつもりになっていることが、保育士と子どものすれ違いポイントになってしまうので、あなたが保育に悩んでいるなら、一度読んでみることをお勧めします。
各年齢ごとの子ども達の特徴や関わり方はこの記事を参考にしてくださいね。
子どもをよく観察する
まずは知識を手に入れてから、次に実際に関わる子ども達を見ていきます。
子ども達と一緒に遊ぶ時も、ただ遊ぶだけではなく、個別にどこまでの力があるのかを観察しながら遊びます。
- 絵本を読みながら「犬はどれかな?」認知度はどれくらいか
- 鬼ごっこをしながら走り方や、障害物をよけれるか、体感、身のこなし
- 折り紙をしながら手先の器用さ、図解を読む力…
そうすることで自分のクラスの子どもたちに足りないところ、次にどんな力をつけたいのかが見えてきます。
活動の予定も立てやすくなります。
保育士が子どもの中に入らずけがに注意しながら、客観的に子ども同士の関係を把握することも大切です。
とくにトラブルが多い子を中心にみてください。
なんでトラブルが起きるのかがよくわかります。
火のないところに煙は立ちません。
子どもが問題行動を起こすのには必ず原因があるのです。
分かりやすく一例を紹介すると、
- おもちゃに飽きてしまい、ほかの子にちょっかいをかけるのが楽しくなっている。
- 自分が先に使っていたのに、うまく言葉で伝えることができず手が出てしまう。
- 頑張って作っていたブロックが壊れて感情的に物を投げてしまう…など
これらのことは子どもを見ていれば原因がわかり、その場にあった声かけや解決策が見つかります。
ところが子どもを見ていないと突然「ギャーーー!!」とパニック状態の子ども達を発見するところから始まります。
泣きじゃくって何を言ってるのかよくわからない子どもから事情を聴くという至難の業が必要になります。
原因追及、解決までにも時間がかかり、結果的に周りに子にも迷惑。
ますますその子が邪険に扱われてしまい、それに耐えられなくてさらに問題行動に繋がる…という悪循環に陥る場合も。
原因がわかれば対策が打てるので、トラブルを未然に防ぐ事もできます。
ついつい仕事に追われてしまい、保育中に壁面を張り変えたり、作業をしてしまうこともあるかと思いますが、なるべくそういう時間をなくして子どもたちを観察していくことが大切です。
ですが、現実的にはそうはいかないほど先生たちが仕事を抱え込んでいるのも事実。
なるべく誰でもできる作業はフリーの先生に任せてしまったり、どうしてもやることがある場合は時々顔を上げて確認したり、耳だけでも傾けましょう。
本当はそういう現場に問題があるのですが…早く日本の保育士の待遇がよくなることを願うばかりです。
保育士の待遇がよくなるように、自分のためにも声を上げる機会があれば、無理のない範囲で積極的に動いていきましょう!!
子どもの家庭環境を把握する
子どもは園だけで生活しているわけではありません。
家庭の事情が子どもの問題行動に繋がっていることがあります。
プライバシーの問題もあるのであまり根掘り葉掘り保護者に聞くことはできませんが、子どもの児童票を見るだけでも様々な情報が得られます。
家族構成一つとっても、一人っ子か、兄弟がいるのか、離婚しているのか、2世帯同居なのか、両親がどんな仕事をしているかなど、知ることができ、その子の問題行動がどこからきているか予測、対策するのに役立ちます。
- 親が離婚していて母親も忙しくさみしい
→スキンシップを多めにして多少の甘えは大目に見てあげる。 - 二人目が生まれて不安
→赤ちゃんの話を聞いてあげたり、不安な気持ちを受け止める。 - 一人っ子で親が全部やってあげてしまう
→なるべく手を出さずに本人の力でやれるよう援助する。
注意したいことは、
あの子が動き回るのは、家で全然しつけができてないからだわ!!!
きちんと家でしてもらうようにお母さんに言わなくちゃ!!
と、問題行動や出来ないことを全部親や家庭のせいにして思考停止しないことです。
あくまで子どもの背景を知って正しい援助を行うことが目的。
あまり家庭のことを深堀して原因ばかり探っていても根本的な解決にはなりません。
保護者もどう関わっていいのかわからず、苦しんでいる場合もあります。
一方的に保護者のせいにしてこちらの要求を押し付けるのではなく、保護者の悩みに寄り添いながらも一緒に解決していくという姿勢を忘れないようにしましょう。
そしてくれぐれも、個人情報の取り扱いには注意してください。
不用意に外部に漏らしたり、SNSに流すことは絶対にいけません。
予定を立てる
「今日は何しよう」って、当日に何となく決めてぶっつけ本番でやることってありませんか。
私は新人時代、よくありました。
そういう日はたいていうまく保育が行きません。
次に何をやるべきか保育士が把握していないと子ども達の指示も曖昧になり分かりにくいので、子どもも話を聞いてくれません。
行き当たりばったりの保育はだめです。
そこで生きてくるのが、先ほどの子どもたちを知る力。
子ども達のことがわかると、次に子どもにどんな力がつけたいかがわかってきます。
保育の予定も立てやすくなっていきます。
ここでは「今日は何しよう」とならないための簡単な予定の立て方を解説します。
月の予定を考えましょう。
月案のような堅苦しいものではなく、単純にその日に何をやるかを考えていった方がやりやすいです。
- まずはカレンダーを用意します。
- そこに絶対にある園の行事をあてはめます(入園式、こどもの日、作品展…等)
- そこまでに必要な活動を考え、穴埋めしていきます。
(こどもの日までに作らないといけない制作物…等、その行事に必要なもの) - 空いている日に、子ども達につけたい力を補えるような活動を考えていきます。
ここで注意したいのはあまり活動を詰めすぎない事です。
急な予定が入ったり、休んだ子の作品に取り掛かる時間など確保する必要があります。
あまり活動を詰め込みすぎても終えることだけで精一杯になってしまうので、一週間に一日ほどは予定をあけて余裕を持ちましょう。
具体的な1日の流れを考える
月の予定が決まればあとは当日までに一日の時間流れを考えます。
これは直前で大丈夫です。
必要な材料など揃えるのにバタバタするので前日の保育が終わった時点で考えるのがお勧めです。
〇月×日
9:00 登園
9:45 片付け
10:00 朝の会
ピアノ「チューリップ」
「さんぽ」
「ありさんのおはなし」
10:15 主活動 クレヨン画
お母さんの絵
(クレヨン、八つ切り画用紙、
予備入れて20枚)
と、このようにざっくりでいいのでメモ帳などに時間を考えます。
自分だけがわかる簡単な日案を作る感覚です。
これがあると自分の頭の中が整理されるので、面倒くさいとは思いますが取り組んでみてください。
黒板に張ったり、メモをポケットに入れておくと、次どうするんだっけとなったときにさっと確認できるのでおすすめです。
環境構成を見直そう
(BrendacfeycによるPixabayからの画像)
子どものトラブルの原因に保育室の環境構成がよくないことも考えられます。
例えばトイレに間に合わずおもらししてしまったという事例。
ついつい
ギリギリに行くのが悪いんでしょう!
と、怒りたくなります。
でも実は、トイレに行ったらスリッパがぐちゃぐちゃで履くのに手間取ってしまったことが原因だった場合、一方的におもらしをした子を叱るのもかわいそうですよね。
じゃあスリッパを並べましょうとなるのですが、いちいちトイレまで確認するのも大変です.
そこで、子ども達がスリッパを並べやすいようにトイレの床に線で印をつけてあげます。
並べるところが決まっていると子ども達もわかりやすく、スリッパを並べやすくなります。
こうやって子ども達が生活するのにわかりやすくしてあげると、トラブルも減っていきます。
環境構成を見直すことは保育士が一番取り組みやすく、かつすぐに効果が出るのでお勧めです。
環境を整えたらそれで終わりではなく、朝の会で集まったときなどにルールを伝えることを忘れない様にして下さいね。
子どもからすれば突然トイレに線が引かれているので戸惑います。
先生の意図をきちんと伝えましょう。
トイレのスリッパがぐちゃぐちゃだとすぐにトイレに行けなくて困るよね。
だから、みんながスリッパを並べやすいようにスリッパのお家を作ったよ。
トイレに行ったら、きちんとスリッパをお家に帰してあげてね。
他にも見直すポイントを簡単に上げておきます。
- おもちゃをちっとも片付けない
→片付ける場所を分かりやすくする - 話をしていても注目してくれない
→保育士が立っている周りをきれいにする - 手洗い場で順番の取り合いをする
→一列に並べるよう線や足跡をつける
これはほんの一例です。
子どもがどうすれば過ごしやすくなるのか、自分の保育室を振り返ってみましょう。
保育の引き出しを増やす
子どもの事を知り子ども達にあった援助がわかると、予定を立てられます。
予定が立つと自分が何を準備するべきか見えてきます。
まずは、取り組みやすい環境構成の見直しからとりかかり、いよいよ具体的な保育士の技術に目を向けられます。
ここまできてやっと…。長かったですね…。
でも、「とりあえず手遊びで注目」させても、保育士の話を聞かなかったり、トラブルが減らないのは、このような下準備の怠りが原因の場合が多いです。
手っ取り早く子供たちの心を掴む方法があってもそれは一時しのぎで本当の信頼関係には結びつきません。
本当にいろいろなことを勉強して、考えて、準備して…先生たちには頭が下がります。
保育の引き出しとは
具体的に、手遊び、手品、クイズなど、子ども達が注目したり、楽しみになるようなことです。
手遊び一つとっても、とりあえず注目してほしい時、絵本の導入、隙間時間を埋める、年齢にあったもの等、その役割にあったものがさっと出るかどうかで子どもの信頼を勝ち取れるかどうかが決まります。
子どもは楽しいことが好き。
楽しいことがさっとタイミングよく提供できるかどうかが保育士の腕の見せ所です。
具体的には、保育の引き出しノートを作りましょう。
子どもの前に立つとさっと思いつかず、いつも同じ手遊びばかりになってしまうこと、よくありませんか。
今自分が一体どれだけの引き出しがあるのか整理し見直すことで、そういうことも減っていきます。
手遊び、ピアノ、絵本、クイズ、手品、集団ゲームなど、自分が知っているものをカテゴリーごとに分け、タイトルだけでいいのでノートに書きだします。
研修や、授業などで習ったことが意外と多くあることに驚くと思います。
私って意外と引き出しあるじゃん!
と自信にもなりますよ。
一度自分が得た知識なので思い出しさえすれば、調べたりすることも必要ないので時間も短縮できます。
新しく得た知識も増やしていってどんどんバージョンアップさせていってくださいね。
作るのは少々面倒ですが、一度形にさえしてしまえば自分の財産、宝となってあなたを支えてくれるでしょう。
保育の学校に通っていない、そういう知識がない、もっと引き出しを増やしたい人は本を買って勉強するのもいいですが個人的にはYoutubeで検索することをお勧めします。
保育士で手遊びや手品など情報発信している人はたくさんいます。
特に手遊びは、メロディーなど本では伝わりにくい部分もあるのでとてもわかりやすいです。
どれも短めなのでちょっとした隙間時間に見れると思います。
本当に便利な世の中になったなぁと思います。これが無料なんですもんね。
YouTubeで検索したら絶対に一度は人形相手でもいいので練習してくださいね。
確実に自分の物に落とし込んでから本番に臨みましょう。
子どもへの声掛け
個々への声掛けも泣いてるとき、早く戻ってきてほしい時、食べてほしい時など
ある程度こんな時はこの声掛け!というパターンがいくつかあるととっさに悩まずに済みます。
こちらも保育書で学んだり、YouTubeで検索したりしてもいいですが、一番いいのは先輩や主任の先生がどのように関わっているのかをよく観察すること。
そしていいなと思った関わり方は積極的に真似してください。
真似をしていく中で「このやり方は自分に合っている。これはやっぱりあの先生だから効くんだ。」
など学びがあり、そしてだんだんあなた独自の子供の関わり方が感覚的に掴めていきます。
もちろん、このサイトでも具体的な子どもの関わり方等、情報発信をしていきたいと思っています。
良かったらまたチェックしてみてくださいね。
メリハリのついた保育を目指す
(Photo by Husniati Salma on Unsplash)
メリハリのついた保育とは…楽しい時は楽しく、いけないことはいけないときちんと伝えていくことです。
子ども達が何か問題行動を起こすのには原因があることが多く、そこを理解して解決することの大切さは前述したとおりです。
ですが、子どもは完ぺきではないので必ず注意する場面は出てきます。
私は叱ってばかりでダメな保育士だ
と、肩を落とさないでくださいね。
むしろ、子どものために大切な「社会的ルール」を伝えたり、「人に迷惑がかかる事」、「ケガに繋がるような危険なこと」はしてはいけないと、きちんと伝えていくことが保育士の役割なのです。
しっかりと子どもを見ており、それでもいけないことをしたときはきちんと叱るという筋の通った先生のクラスはむしろ落ち着いていきます。
逆に、実習生など強く出れない先生の場合、子どもはよく見ているので好き勝手に行動しだします。
ある意味素直な生き物です。
ただし、叱る時はより一層注意しなければ、子ども達との信頼関係に溝ができることがあります。
舐められたらいけないと大声を出したり、感情的に叱ってはいけません。
叱る時こそ冷静に、低い声で短く要点だけを目を見て伝えていきましょう。
とはいえ先生も人間です。
時にはつい感情が爆発してしまった…ということがあっても落ち込まないでください。
当たり前なんです。
人間は感情の生き物なので。
恥ずかしながら、私も感情的に叱ってしまったことは沢山あります。
私がよくやるのは、言いすぎてしまったと思ったらその子に素直に謝り、仲直りをします。
先生も完璧な人間ではないので失敗することはあります。
問題は失敗したあと。
冷静になったときに、どうしてそうなってしまったのか反省、分析して次に生かすようにすればよいのです。
先生方は十分頑張っています。
自分を認めてあげることを忘れないでくださいね。
具体的なアドバイスはこちらの記事で解説しているので良かったら見てくださいね。
まとめ
今回は「クラス運営の基本!!子どもと信頼関係を築く方法5選!落ち着かないクラスを変えよう!!」
ということでクラス運営の基本について網羅的に解説していきました。
- 子どもを知ろう
→子どもについて本などで学ぶ、子どもを観察する、家庭環境を把握する - 予定を立てよう
→まずは月の予定を決めて、一日の時間割を考える - 環境構成を見直そう
→子どもたちが過ごしやすい保育室にしよう - 保育の引き出しを増やし、使いやすくしよう
→本、YouTubeなどを参考に勉強し、保育の引き出しノートを作ろう - メリハリのついた保育を目指そう
→いけない事はきちんと伝えよう
この5つが歯車のように絡み合ってクラス運営がスムーズに回っていきます。
本来なら1から順に保育を見直していけるといいのですが、あなたが興味を持ったところから取り組んでも構いません。
なぜなら、後からその知識や取り組みが生きてくるので決して無駄にはならないからです。
ここで得た知識をあなたの保育に生かし、あなたが笑顔で保育できるようなお手伝いに繋がれば幸いです。
一つ一つ解説したため、とても長い記事になってしまいました。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!!
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