年中、年長さんってどんなことができるんだろう。
賢くなってきてどう関わればいいのか悩むことが増えてきた。
初めてその学年を持ったり、経験が少ないと必ずこの壁に当たりますよね。
ここでは、年中児、年長児の特徴、関わり方を分かりやすく解説していきたいと思います。
4,5歳児の関わり方を同じにしたのはまったく同じとは言えないが重複する内容が多いからです。
年少児は初めての経験が多くまだまだ幼さも感じられますが、年中長児は園生活の経験を経て自信がつき、言動も行動も活発になります。
お仕度や着替えなど、身の回りのことは手を貸さずとも出来るようになり、手先も器用になっていきます。
出来ることが増える反面、精神的にも成長し、内面が複雑になってくるので、嘘をついたり、反抗的な態度をとったり、むずかしい場面も出てきます。
関わり方に悩む先生も多いのではないでしょうか。
そんな先生たちの参考になれば幸いです。
年中児の出来るようになること
まずは、それぞれの学年の発達を運動面、製作面、精神面の三つの項目に分けてみていきましょう。
ここに書かれていることはあくまで目安です。
実際には月齢や個人差が大きいのでできていない子もいるでしょう。
- バランス面が発達し、複雑な動きが可能になる
【ケンケン、スキップ、ギャロップ、うんてい、登り棒、ボール投げ、縄跳び、前回り】
- 手先が器用になる
- ハサミの連続切り、細かいものまで切れるようになる
- 折り紙の折り図も簡単なものなら分かるようになる
- 廃材などを使って自分で工夫しながら作ることができる
- 出来るようになることが増え、自信がつき活発になる。
- 友達とのつながりを求めるようになる。
- ルールのある遊びを楽しめるようになる。
- 脳が一気に成長するので、不安や戸惑い、反抗的になったり甘えたりと不安定になる「4歳の壁」にぶち当たる。
年長児の出来るようになること
- 更に筋力が発達し、様々な動きができるようになってくる
【逆上がり、側転、竹馬、自転車、うんていの一個飛ばし、あや飛び、走り飛び、コマ回し】
- 観察力が成長し、複雑な絵も描けるようになってくる
【顔、体、動物など】 - 集中する時間が増え、しばらく座って遊ぶことができるようになる
【毛糸の編み物、簡単な刺繍、複雑な折り紙、など】
- 文字を読んだり、数字も読める。簡単な足し算や引き算は計算できる。
- 最年長児として下の子の面倒を見たり、お手伝いなども積極的に取り組む。
- 自分の中で得意なことと苦手なことの意識が出始め、苦手なことは取り組みたがらなかったりする。
- 内面的にも成長し、嘘をついて誤魔化そうとしたり、友達に意地悪をしてしまうこともある。
年中、年長児との関わり方
それぞれの学年のイメージは掴めたでしょうか。続いて具体的な関わり方を解説していきます。
1,簡単すぎず、難しすぎない活動を準備する
いきなり難しいですが、実際のクラスの様子を見ながら、子ども達が少し頑張れば乗り越えられる活動を考えましょう。
簡単すぎると
こんなの簡単すぎー
と、子ども達がすぐに飽きてしまいますし、反対に難しすぎると
こんなのできないー!!
よくわかんないー!!
と、諦めてしまう子が出てきます。
子どもって自分勝手ですよね(笑)
この辺りを見極めるのは本当に難しいのですが、何をやったらわからない先生は先ほどのそれぞれの学年の特徴に書いてあるような活動をやりましょう。
年中児:ケンケン、スキップ、ギャロップ、うんてい、登り棒、ボール投げ、縄跳び、前回り
年長児:逆上がり、側転、竹馬、自転車、うんていの一個飛ばし、あや飛び、走り飛び、コマ回し
また、その園独自の学年の目標や活動があるはずです。
先輩に話を聞いたり、前年度の資料を見せてもらったりして何をやるといいか考えましょう。
最近は、SNSで情報発信している先輩保育士さんも多いので先人たちの知恵もぜひ参考にしていってくださいね。
2,とにかく褒めることを第一に考える
なるべく褒めて自分たちで気づいて行動を変えることを意識しましょう。
出来ていない子を叱って動かすよりも、できている子を褒めた方が子どもは動きます。
僕も褒められたい…
と、子ども自身が気づいてくれるからです。
特に最近の子ども達は親も忙しく、自己肯定感がもともと低い子どもたちが多いです。
自己肯定感とは…「自分は大切にされている。」「ありのままの自分でいいんだ。」と、自分の存在を肯定できることです。
問題行動ばかり起こす。叱っても反抗的で、どうにも手が付けられない子は特にこの自己肯定感の低さが一つの原因になっている場合もあります。
どうせ僕は必要ない人間なんだ。
誰も愛してくれないんだ…。
僕なんかどうなったっていいんだ。
そういう子は小さなことでもいいので、まずは褒めてみましょう。
・給食がピカピカに食べられたね、好き嫌いがなくてすごいなぁ。
・走るのがとても速いね!先生追いつけなかったよ!
・うんていが上手だね!!腕の力が強いなぁ!
・先生は〇〇君のことが大好きだよ。
など…どんなことでも構いません。
きつかった目がハッと変わる瞬間があります。
時間はかかるし、とても骨の折れることですが、その子たちもすでにたくさん傷ついており、自分を守るためにそうするしかなかったのです。
心の氷を少しずつ溶かしていく感覚で、その子たちとの信頼関係を築いていきましょう。
とはいっても、問題行動ばかり起こす子どもたちと関わるのはとてもエネルギーのいることです。
先生も人間ですから、どうしても無理と思ったら周りに助けを求めたり、一時的に距離を置いたりしても大丈夫です。
あまり一人で抱え込みすぎない様にして下さいね。
3,時にはきちんと叱ることも大事
出来ている子を褒めると八割ほどの子ども達は自分で気づいて行動を改めることができます。
ところが残りの二割は我関せずだったり、そもそも話を聞いていなかったり…。
そういった子は個別に声をかけていくことになります。
中には、子どもが「試し行動」をしている場合もあります。
この先生はどこまで許してくれるだろう…
と、ハチャメチャなことをやり、無意識のうちに保育士を試しているのです。
こういった場合は毅然とした態度でしっかりと話をしても大丈夫です。
自分の経験を思い出してみてください。
叱られた経験って、悪いことばかりではありませんよね。
むしろ、自分のことを思って叱られた経験は、そのあと行動を改めるきっかけになり、成長へと繋がったはずです。
人間は不完全な生き物ですし、子どもだって間違ったことをしてしまうこともあります。
先生の中で「ここまではOK」「ここからはいけません」というラインをしっかり持ち、メリハリのある保育を目指していきましょう。
私の中では「命に係わるケガや事故に繋がる行為」「人を傷つけたり、周りに迷惑をかける行為」はきちんといけないと伝えるようにしています。
4,テンポよく、子どもを待たせない
事前の準備がなにより大切です。
当日になって「今日何しよう」と考えていると、自信のなさをすぐ見破られてしまいます。
出来れば週単位で何をやるかざっくりでもいいので予定を考えておき、前日に次の日の活動を伝えて園に来るモチベーションに繋げられるといいでしょう。
また、製作の準備はもちろん、予備を2,3個含めて当日までに済ませておくことや、その日に読む絵本や紙芝居などは下読みをして保育室に準備しておくと完璧です。
て、そんなことは分かっているんだけど、毎日のことで精いっぱいです~
本当に、そうですよね…。
なるべく、製作の準備等、自分じゃなくてもできる仕事はフリーの先生にお願いしましょう。
また、すべてを一から考えなくて大丈夫です。
新設の園でない限り、例年この時期はどんなことをしているのか…だいたいの予定がありますよね。
それを軸に考えればいいのです。
また、最近は壁面製作などメルカリで販売していたり、手紙はパソコンで書いて、下書きと清書をする時間をなくしたり…と、便利な時代になりました。
(最近は紙での配布物をやめて、すべて親のスマホにメールが届く園もあるそうです。)
何とか効率的に物事をこなしていき、時間を生み出していく方法を考えましょう。
こちらに記事で具体的な予定の立て方を解説しています。よかったら参考にしてみてくださいね。
5,子どもに任せられることを増やしていく
その園によって保育士がやらなければならないことがあるかもしれませんが、これは子どもでも出来るのではないかということを見つけましょう。
子どもはお手伝いが大好きですし、人の役に立ったという経験が自信につながります。
また、先生一人に対して子どもを30人見ないといけない園もあります。
子ども一人一人の話や要求を聞いてあげたいのは山々ですが、とてもじゃないけど聞いていられません。
そこで、なるべく子どもができることは子どもがやれるように、環境など改善していきましょう。
子どもは待つ時間がなくなり、自分で効率よくできるし、保育士は負担が減り、win winな場合が多いです。
例えば、こんなことをお願いしてみるのはどうでしょうか。
- 服を汚した時、自分の棚から着替えを出して着替える。
- お当番にテーブルを拭いてもらう(机拭きの仕方をレクチャーしてから)
- 椅子を運んでもらう
- 落としたごみ、おもちゃを拾う
- 一人でトイレに行けない子に付いていってもらう
- 年少児の着替えを手伝ってもらう…など
ほかにも、たくさんあると思います。
何事も保育士一人でやるのではなく、子ども達の力を借りられるところは思い切ってお願いしましょう。
お願いして、きちんとできたら「ありがとう」を伝えるのを忘れずに…。
6,子どものやる気を引き出す関わり方を意識する
先ほどの褒めるところでも少し触れましたが、子ども達が自分で「やりたい」「やらなきゃ」と思わなければ、自発的に動くことは難しいです。
これが叱ってばかりだと「先生に怒られるからやらなきゃ」と、仕方なく「やらされている」状態になります。
同じ動きでもこの二つは子どもたちの成長が大いに変わっていきます。
どういう声掛けをしたら子どもたちが自然とその気になるのか、いくつか例を紹介しますね。
- 周りのできた子を褒める。
- ゲームや競争を取り入れる。「何秒でできるかな?」「先生とどっちが先に部屋に入るか競争だ!」
- 先に予定や約束を伝えておく。「時計の長い針が4になったらお片付けだよ」
- 集団ゲームを通して、ルールを守る大切さを学んでいく。
- 手品やクイズなど子どもたちの楽しみを準備しておき、子ども達が頑張れたらそれをやる。
これもまたほんの一例です。やってみながら、子ども達はどの方法が反応がいいか、いろいろと試してみましょう。
まとめ
年中、年長児共に解説しましたが、いかがだったでしょうか。
- 簡単すぎず、難しすぎない活動を準備する。
⇒各学年の特徴や実際の子どもの姿を把握し、ちょうどよい活動を考える。 - とにかく褒めることを第一に考える。
- 時にはきちんと叱ることも大事。
⇒褒める8:叱る2くらいで考える。 - テンポよく、子どもを待たせない
⇒予定をあらかじめ考えておく。 - 子どもに任せられることを増やしていく
- 子どものやる気を引き出す関わり方を意識する
たくさんありましたが、一番のポイントは子ども、先生ともに楽しいかどうかです。
子どもの見る目も成長しているのでピアノを失敗するといじられたり、先生としても気が抜けず、ついつい保育士がピリピリしてしまいがち。
その焦りが伝わってしまうと子ども達も落ち着かなくなってしまうので、「子どもってかわいい」「面白い」「大好き」という気持ちを大切に、笑顔を忘れず保育してくださいね。
と、いっても無理をして笑わなくても大丈夫です。
その日によって気持ちが落ち込んだり、どうしても怒れてしまうことは絶対あります。
すでに先生方はよく頑張っていますし、頑張りすぎてつぶれることのないように、苦しい時は周りに相談しましょう。
子どもを育てる仕事はとても大変ですが子どもは必ず成長します。
その成長は著しいし、目に見えて分かるものがあります。
クラス運営は緻密で難しいものになりますが、達成感や、やりがいが感じられるのもこの時期ならではです。
子ども達とともに自分も成長するような感覚で、リラックスして毎日の保育に臨みましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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